工程表は、工事の作業をいつ・どの順番で進めるかを1枚に並べた計画表です。建設の現場ではバーチャート・ガントチャート・グラフ式・工程管理曲線・ネットワークの5種類を、全体・月間・週間の段階に合わせて使い分けます。
この記事でわかること
- 工程表の5種類の違いと、場面ごとの使い分け
- 全体・月間・週間の3段階で何を決めるか
- 工期から逆算する工程表の作り方(日数の出し方つき)
- ネットワーク工程表のクリティカルパスを計算例で求める方法
- 雨天・猛暑日・休日まで含めた工期のルールと、会社選びでの見方
公的情報源: 国土交通省「工期に関する基準」/関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法(令和8.2版)」/全国建設研修センター「令和8年度 1級土木施工管理技術検定 第一次検定 受検の手引」(2026年10月閲覧)
この記事の要点
- 種類は5つ。迷ったらバーチャート、作業のつながりを見るならネットワーク
- 工程表は全体→月間→週間と細かくして使う。1枚で全部をやらない
- 日数は数量÷1日の施工量で出し、雨・猛暑・休日の分を別に足す
- 全体の工期を決めるのはクリティカルパス上の作業だけ
- 著しく短い工期の契約は注文者も受注者も禁止(建設業法第19条の5)
工程表に土曜の作業が最初から組み込まれている現場が続くなら、休みの取り方は会社の工期の組み方で決まっています。建設業界に絞った転職エージェントなら、求人ごとの休日の実態まで聞けます。
工程表とは?全体・月間・週間の3段階で使い分ける
工程表は、作業の順番と日数を並べ、工期内に終わるかを確かめる道具です。施工管理の4大管理(工程・品質・原価・安全)のうち、工程管理の土台になります。
現場では、1枚の工程表ですべてを管理することはほとんどありません。契約から引き渡しまでを見る「全体工程表」を作り、そこから月間、週間へと細かくしていきます。
| 段階 | 見る期間 | 主に決めること | 主な読み手 |
|---|---|---|---|
| 全体工程表 | 着工〜引き渡し | 工種の順番・節目(上棟、検査など) | 発注者・社内 |
| 月間工程表 | 1か月 | 職種ごとの入場時期・資材の手配 | 協力会社の職長 |
| 週間工程表 | 1週間 | 日ごとの作業・人数・重機・搬入 | 現場の全員 |
全体工程表は契約時の約束、週間工程表は毎日の段取りです。遅れに気づくのは週間のほうで、取り戻せるかを判断するのは全体のほうになります。週間で出た遅れを月間・全体に戻して見直す流れが回っているか。工程表が機能しているかは、そこで分かります。
工程表は3段階で細かくしていく
- 全体工程表(着工〜引き渡し):工種の順番と節目を決める
- 月間工程表職種ごとの入場時期と、資材・重機の手配を決める
- 週間工程表日ごとの作業・人数・搬入を決める。遅れはここで最初に見える
図:全体で決めた節目を、月間・週間へ細かくして日々の段取りに落とす。
工程表の5種類はどう使い分ける?
選び方の軸は2つです。「作業同士のつながりを見たいか」と「進み具合を数字で見たいか」。どちらを優先するかで、5種類の向き不向きはほぼ決まります。
| 種類 | 形 | わかること | 弱いところ |
|---|---|---|---|
| バーチャート | 縦に作業、横に日付、棒で期間 | 各作業の時期と工期全体 | 遅れがどこに響くか読みにくい |
| ガントチャート | 縦に作業、横に達成率(%) | 作業ごとの進み具合 | 所要日数と工期への影響が出ない |
| グラフ式 | 縦に出来高、横に日数、作業ごとの線 | 作業ごとの進み具合と予定との差 | 作業のつながりは出ない |
| 工程管理曲線 | 全体の累計出来高のS字曲線 | 全体が予定どおりか | どの作業が原因かは出ない |
| ネットワーク | 丸と矢印で作業のつながり | 全体の工期を決める作業と余裕日数 | 作るのに手間がかかる |
バーチャートは迷ったときの基本形
いちばん使われるのがバーチャートです。作業名と日付を並べて棒を引くだけなので、職長にも発注者にも説明しやすく、月間・週間工程表の多くはこの形で作られています。
弱点は、ある作業が3日遅れたときに全体の工期が何日遅れるのかが表から読めないこと。並行作業が多い現場ほど、この弱点が効いてきます。
ガントチャートは「横軸が日付ではない」点に注意
施工管理の試験や教科書でいうガントチャートは、横軸に達成率(0〜100%)をとる表です。IT業界などで「ガントチャート」と呼ぶ表は、横軸が日付でバーチャートに近い形をしています。名前は同じでも中身が違うので、試験勉強をしている方は混同しないようにしてください。
工程管理曲線(バナナ曲線)は全体の健康診断
工程管理曲線は、全体の累計出来高を縦軸、工期を横軸にとったS字の曲線です。予定の上限と下限の曲線で挟んだ範囲が、形からバナナ曲線とも呼ばれます。
実績が下限を下回れば遅れ、上限を上回れば進みすぎ。進みすぎは一見よいことに見えますが、人や重機を無理に集めて原価がふくらんでいるサインのこともあります。
ネットワーク工程表は「どこが遅れると困るか」を出す
丸(結合点)と矢印(作業)で前後関係を描くのがネットワーク工程表です。全体の工期を決める作業の列(クリティカルパス)と、各作業の余裕日数が出せます。手間はかかりますが、工期が厳しい現場や、工程の変更を発注者と協議するときの根拠になります。
どの工程表を選ぶか
- 目的から逆に選ぶ
- 1関係者に日程を伝えたいバーチャート。月間・週間工程表の基本形
- 2作業ごとの進み具合を確かめたいガントチャートかグラフ式。予定との差を見るならグラフ式
- 3全体が予定どおりかを見たい工程管理曲線。上限と下限の間に実績が入っているかを見る
- 4遅れが工期に響くかを知りたいネットワーク。クリティカルパスと余裕日数を出す
実務では全体をネットワークかバーチャートで組み、月間・週間はバーチャートで回す形が多い
図:伝える・進捗を見る・全体を見る・遅れの影響を見る、の4つの目的で選ぶ。
工程表はどう作る?工期から逆算する5ステップ
作り方の骨組みは、どの種類でも同じです。契約工期から逆算し、作業ごとの日数を積み上げて、はみ出したところを組み替える。順番に見ていきます。
工程表を作る5ステップ
- 条件を集める:契約工期、休日、搬入できる時間帯、近隣との約束、検査の日程
- 作業を洗い出す:工種ごとに作業を分け、それぞれの数量を図面から拾う
- 日数を出す:数量÷1日の施工量(歩掛り×人数)で、作業ごとの日数を出す
- 順番と並行を決める:前の作業が終わらないと始められない関係を整理する
- 不稼働日を入れて組み替える:雨・猛暑・休日を入れ、工期をはみ出した部分を並行化や人数で調整する
日数は「数量÷1日の施工量」で出す
3番目のステップがいちばん差の出るところです。たとえば型枠が1,200㎡あり、1人1日10㎡(説明用の数字です)で6人が入るとします。1日に進むのは60㎡なので、1,200÷60=20日です。
この20日は「作業ができる日」の数なので、カレンダー上の日数ではありません。雨で止まる日や休日を足して、初めて工程表に書ける日数になります。
余裕は「最後にまとめて」より「節目の前」に置く
経験の浅いうちは、余裕日数を工期の最後にまとめて取りがちです。ただ、実際の遅れは途中の作業で起きます。
検査や上棟などの節目の手前に余裕を分けて置くと、遅れがその節目より後ろに広がりにくくなります。後ろにまとめた余裕は、たいてい前半の遅れで使い切られてしまうからです。
作った工程表は、週1回は予定と実績を並べて書き換えます。書き換えない工程表は2週間もすると現場の実態と離れていき、誰も見なくなります。
ネットワーク工程表のクリティカルパスはどう求める?
クリティカルパスは、開始から完了までの経路のうち、日数の合計がいちばん長い経路です。この経路上の作業が1日遅れると、全体の工期も1日遅れます。説明用の簡単な例で、実際に求めてみましょう。
| 作業 | 内容 | 日数 | 始められる条件 |
|---|---|---|---|
| A | 準備工 | 3日 | 着工時 |
| B | 基礎工事 | 5日 | Aの完了後 |
| C | 埋設配管 | 4日 | Aの完了後 |
| D | 躯体工事 | 8日 | Bの完了後 |
| E | 外構下地 | 6日 | Cの完了後 |
| F | 仕上げ・検査 | 4日 | DとEの両方の完了後 |
経路は2本あります。A→B→D→Fが3+5+8+4=20日、A→C→E→Fが3+4+6+4=17日。長いほうのA→B→D→F(20日)がクリティカルパスで、全体の工期は20日になります。
余裕日数(フロート)の出し方
短いほうの経路は、長いほうより3日早く終わります。CかEは、合わせて3日までなら遅れても全体の工期は変わりません。これが余裕日数(トータルフロート)の考え方です。
| 作業 | 最も早く始められる日 | 遅くとも始める日 | 余裕日数 |
|---|---|---|---|
| B | 3日目の終わり | 3日目の終わり | 0日 |
| C | 3日目の終わり | 6日目の終わり | 3日 |
| D | 8日目の終わり | 8日目の終わり | 0日 |
| E | 7日目の終わり | 10日目の終わり | 3日 |
| F | 16日目の終わり | 16日目の終わり | 0日 |
Fが始められるのは、Dが終わる16日目とEが終わる13日目のうち遅いほう、つまり16日目です。前から足していく計算で「最も早く始められる日」を、後ろから引いていく計算で「遅くとも始める日」を出し、その差が余裕日数になります。
クリティカルパスを求める手順
- 計算例:A3日・B5日・C4日・D8日・E6日・F4日
- 1経路を全部書き出すA→B→D→F と A→C→E→F の2本
- 2経路ごとに日数を足すA→B→D→F=20日、A→C→E→F=17日
- 3いちばん長い経路を選ぶ20日の A→B→D→F がクリティカルパス。全体の工期は20日
- 4短い経路の差を余裕日数として扱うC・Eの経路は3日の余裕。ここは人を回してよい作業になる
遅れを取り戻すときは、クリティカルパス上の作業に人と重機を集める
図:経路の日数を比べ、いちばん長い経路が全体の工期を決める。
この考え方は、工期短縮の判断にそのまま使えます。余裕のあるC・Eに人を増やしても工期は縮みません。縮めたいならB・Dに手を入れる。どの作業に人を足せば工期が縮むかが数字で説明できるのが、ネットワーク工程表の強みです。
施工管理技士の検定でも工程管理は出題範囲です。1級土木の受検の手引を見ると、第一次検定の「施工管理法」の基準に工程管理が入っていました。出題の形は施工管理技士の過去問の入手方法と攻略法で、今年の日程は施工管理技士の試験日程・申込・合格発表で確かめられます。
工期を組むときに守るルールは?
工程表の前提になる工期には、法律と国の基準で決まったルールがあるんです。著しく短い工期での契約は、注文者だけでなく受注する建設業者の側も禁止されています(建設業法第19条の5)。
関東地方整備局の解説資料(令和8年2月版)は、工期に関わる規定を次のように並べています。
- 第19条の5:通常必要な期間と比べて著しく短い工期での請負契約の禁止
- 第20条:工事の工程ごとの作業と準備に必要な日数を明らかにした見積り(努力義務)
- 第20条の2:資材の不足・遅れ・価格高騰など、工期に影響する事象の通知
「工期に関する基準」が求める日数の見込み方
中央建設業審議会が2020年7月に作成し、2024年3月27日に改定した「工期に関する基準」は、工期を決めるときに考える事項を並べています。不稼働日の入れ方をこの基準に沿わせておけば、発注者にも職長にも説明がつけやすいはずです。
| 考える事項 | 基準での書かれ方 |
|---|---|
| 雨・雪 | 降雨日・降雪日(雨休率の設定など) |
| 暑さ | 猛暑日(夏期にWBGT値が31以上の場合の不稼働などを考慮) |
| 休日 | 担い手一人ひとりの週休2日(4週8休)の確保 |
| 工期の段階 | 準備・施工・後片付けの3段階に分けて考える |
| 進捗管理 | 受発注者が常にクリティカルパスを認識する |
2024年4月からは、建設業にも罰則付きの時間外労働の上限規制が適用されています。工程表で日数が足りない分を残業と休日出勤で埋める組み方は、以前より通りにくくなりました。働き方の変化は施工管理の残業・休日の実態と2024年問題で詳しく整理しています。
工期は3段階で見込む
- 工期に関する基準の考え方
- 1準備資材の調達・人員の確保・現地調査・現場事務所の設置にかかる日数
- 2施工工程ごとの作業日数に、雨・猛暑・休日(4週8休)の不稼働日を足す
- 3後片付け自主検査・清掃・原形復旧にかかる日数
施工の日数だけで工程表を組むと、準備と後片付けの分が残業に回る
図:工期は準備・施工・後片付けに分け、不稼働日を含めて見込む。
基準の本文は分野別・工程別に細かく分かれています。実際の工期設定では国土交通省「工期に関する基準」の最新版をご確認ください。
工程表から会社の働き方は見抜ける?
かなりの部分は見抜けます。工程表は、その会社が工期をどう取り、休みをどう扱っているかの記録だからです。土曜を作業日として組んだ工程表が続く会社は、休みも残業も工程の組み方の段階で決まっています。
現場で見てきた範囲では、休みが取れている現場は、工程表の段階で休日と雨の分が日数に入っていました。逆に、施工の日数だけで組んだ工程表は、雨が2日続いただけで土曜出勤に変わります。現場監督の頑張りでは取り戻せない差です。
面接や面談で確かめたいこと
- 担当予定の現場は4週8閉所で工程を組んでいるか
- 週間工程表の作成と更新を誰が担っているか(所長1人か、分担か)
- 工程の変更を発注者と協議して工期を延ばした例があるか
- 工程表の共有にクラウドの施工管理アプリを使っているか
求人票での見分け方は施工管理のホワイト企業の見分け方に、面接での聞き方は施工管理の面接でよくある質問と答え方にまとめています。
工程を組んで回した経験そのものも、転職では評価されます。何人の職種を何か月の工程でまとめたかは、職務経歴書の工事経歴にそのまま書ける実績です。
工程の組み方は会社ごとに大きく違い、それは求人票の「年間休日」だけでは見えません。経験者向けの施工管理求人なら、担当現場の規模や休日の取り方を登録後の電話面談で確かめられます。
よくある質問
Q. 工程表と行程表はどう違いますか?
工程表は、作業の順番と日数をまとめた計画表です。行程表は、旅行や移動の道のりと時間をまとめた表を指すのが一般的です。工事の計画で使う言葉は「工程表」のほう。
Q. バーチャートとガントチャートの違いは何ですか?
横軸が違います。バーチャートは横軸が日付で、作業の時期と期間がわかります。施工管理でいうガントチャートは横軸が達成率で、作業ごとの進み具合はわかりますが、日数や工期への影響はわかりません。
Q. 工程表はエクセルで作れますか?
作れます。バーチャートは行に作業、列に日付をとってセルを塗るだけで形になります。ただし変更のたびに手で直すことになるので、現場の数が多い会社ではクラウドの工程管理アプリを使う例が増えてきました。
Q. クリティカルパスが2本になることはありますか?
あります。日数の合計がいちばん長い経路が2本以上あれば、その全部がクリティカルパスです。どちらの経路の作業が遅れても全体の工期が延びるので、管理の手間は増えます。
Q. 雨で遅れた分は工期を延ばしてもらえますか?
契約の内容と協議次第です。工期に関する基準は、作業不能日数が想定外に増えた場合などに、受発注者の協議のうえで工期延長を含めた変更契約を結ぶよう求めています。遅れた日と理由を週間工程表に残しておけば、協議のときにそのまま使えるでしょう。
まとめ
- 工程表は5種類。日程を伝えるならバーチャート、遅れの影響を見るならネットワーク
- 全体→月間→週間と細かくし、週1回は予定と実績を並べて書き換える
- 日数は数量÷1日の施工量。雨・猛暑・休日の分は別に足す
- 工期を縮めたいならクリティカルパス上の作業に人を集める
- 4週8休を前提に組む。著しく短い工期の契約は受注者側も禁止
休日と雨の分を最初から工程に入れる会社かどうかで、施工管理の働き方は大きく変わります。建設業界に絞ったエージェントの無料キャリア面談なら、求人ごとの休日の実態や担当現場の規模まで聞いてから応募先を選べます。
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- 施工管理とは?仕事内容・1日の流れ・現場監督との違い
- 主任技術者と監理技術者の違い|配置基準・専任・兼務を整理
- 施工管理技士の過去問|入手方法と二次検定の攻略法
- 施工管理の残業・休日の実態と2024年問題
- 施工管理のホワイト企業の見分け方
免責事項
※本記事は2026年10月時点の公開情報・各公的機関の公式情報をもとにした整理です。計算例の作業名・日数は説明のための簡略例です。工期に関する規定や基準は改正・改定されることがあるため、実際の工期設定や契約にあたっては国土交通省・各地方整備局の最新の公表資料をご確認ください。

